多分、何回言われても無理だわ。

私そういう異世界ファンタジー系の作品が苦手だったから、なんちゃら王国とか出て来て地図バーンと出されて、カタカナの名前のモンスターが出て来て剣と魔法でなんやかんや……

一番苦手な分野だった。

唯一わかるネタは、仲間になりたそうにしていると言いつつ表情差分が一切ない水色のモンスターくらいだし……

そんな私に、なんちゃら王国とか貴族とかわかる訳がない。

「トランダル家は代々王室に仕える魔法士の家系です。ですからミーア様には、これから魔法の鍛錬を……」

うわぁ……
魔法士。
ほら、やっぱり……

「だから私苦手なんですって! そういう、魔法とかファンタジー世界スゴい苦手なんですよ」

「苦手だからと言っていたら何も出来ませんよ? それにミーア様には産まれもっての才能がございます」

「才能? ナイナイ! そんなのナイですから! 大体、オタクとかいうとそういうのみんな好きとか思われがちですけど、違いますからね! 住み分け大事ですよ」

「良くわかりませんが……以前のミーア様でしたらご自分でそう自負されてました」

以前の様な……
そう言われ、俄然私はこの私になる前の私に興味を持った。

「あの~……以前の私ってどんな人だったんです?」

「……以前のミーア様は……そうですね、まあ頭はあまりよろしくは無かったですね、そしてカナリ抜けているトコロが……おや、コレでは頭を打った後とあまり変わり映えしませんね」

すごい満面の笑顔で、専属の執事にディスられています。
この人、チェンジ出来ないのかな。

「しかし、そんなミーア様もアノ事は相当なショックだったのでしょう……気を失われたと同時にそのまま屋敷の階段から落ちて……」

「アノ事?」

「その話は、もう少し回復されてからに致しましょう……さて、世界史の勉強の後は魔法薬学の勉強に致しましょうか」

「えっ……まだあるんですか?」

確かに、今日からいつも通りのスケジュールにするとは聞いていたが……
朝からマナーや言葉使いから、地理・世界史、魔法史、召喚学、魔法言語……etc
もうぶっちゃけ高校の時なんかより、めっちゃ過密スケジュールだ。

「トランダル家の長子たるもの、コレくらいで弱音を吐かれては困りますよ」

しかも、ほとんどの授業はこのルミエールが教えてくれていた。

執事兼家庭教師といったところだろう。

ルミエールの種族の事も少し学んだ。

彼らはこの土地に昔からいる精霊の一族だそうだ。

額にある角が特徴的な種族らしい。

見た目も性格も鬼っぽい。