「デューイ・トランダル!」
「はい」
翌日──
私は、正式な入学式に参列していた。
昨日の華美なホールとはまた違う、赤と黒の二色に部屋の中が彩られた会場。
蝋燭の灯りがチラチラと揺れる中、私は名前を呼ばれると壇上にいる校長から学章を受け取る。
コレで、本当にこの学校の生徒になったわけだ。
私のあとにルミエールの名前が呼ばれ、同じ様に学章を受け取ると私の隣へと座った。
「……そういえばアノ時のお礼、まだ言ってなかったな」
私は小声でルミエールに話しかけた。
「アノ時?」
「ほら、昨日アノ洞窟で……僕を庇ってくれたろ?」
「ああ、いえアレはセーラ様にもし何かあったらと思っただけですので……」
「あっ……そ、そう! まあそれでもいいよ助かったんだから、ありがとう」
「……いえ」
ルミエールは珍しく笑顔ではなかった。
そして、私の耳元に顔を寄せる。
また何か悪口でも言われるかと身構えたのだが……
「アナタの側にいる事こそ、僕の存在意義ですから」
そして、柔らかく微笑んだ。
「…………っ!?」
私は、自分の顔が真っ赤になっていくのがわかった。
コイツには敵わないのかもしれない。
「これから楽しみですね」
微笑むルミエールを見て思う。
多分、穏やかな学校生活は望めそうもない。
私の異世界での、波乱に満ちた学園生活が始まった──