「デューイ様……アノ、ワタクシと一曲踊って頂けませんか?」

しかし、ホッとしたのも束の間。
先程、ルエールと写真の取り合いに興じていたセーラが私の方に近づき、可愛いらしくお辞儀をした。

「ダメ……ですか?」

「いえ、踊りましょうか」

ダンスなんて踊るのは初めてだったが、体が勝手に動いてくれた。
恐らく、昔の自分は踊った経験があるのだろう。

「皆さん、デューイ様を見てらっしゃいますわ」

彼女は嬉しそうに微笑んでいる。
だが、彼女にだけは真実を伝えなければならない。

「ワタクシ、デューイ様をお慕い申しております」

まさか人生で始めての告白が女子から、だとか……
好意を向けてくれるのは嬉しい、だがココは……

「セーラ様、その大事なお話があります」

「はい?」

「僕……いや、私は実は……」

頬に平手打ちくらいは覚悟した。

「その……女……なんです」

「……はい?」

「えっと、だから……私、事情があってその……女なんですけど男子校に……」

「そうなんですか」

「はい、えっ? だから……」

セーラからの平手打ちは回避したが、なんだか思っていた反応とは違う。

「ワタクシ、デューイ様が女性でも男性でも関係ありませんわ! デューイ様はワタクシの王子様ですもの!」

「えっ……エェェエエ工ェェっ!?」

出した事も無い様な声が出た。


少し離れた場所でニヤリと笑うルミエールを、私はいつか絶対ボコると再度決めていた。