──突然、糸の切れた操り人形の様に、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。

「セーラ様……? お体の具合でも?」

私達は彼女の側にすぐに駆け寄り様子を伺う。
もしかしたら、体調が悪いのかもしれない。

しかし……

返って来た言葉は以外なモノだった。

「わ、ワタクシ……暗いトコロが苦手なのです……」

顔を上げた彼女はポロポロと涙を零していた。

「ご、ごめんなさい……すいません……ワタクシ……でも頑張りますから……どうか……置いて行かないで下さいませんか!? その、こんな場所に取り残されたら……ワタクシ……」

震えていたのは怒りではなく、恐怖だったみたいだ。

「その……さっきも、ワタクシとてもデューイ様に失礼な態度をとってしまって……多分ワタクシの事なんてお嫌いだと思うんですが……」

「えっ? いや、そんな事は……」

「そっ、その……あの……同い年の男性とお話するのが初めてで……き、緊張すると……いつもこう……言葉が出て来なくてじっと見てしまうクセがあって……」

ああ、アレは睨みをきかせてたワケではなく?

「目付きが悪いのですぐ勘違いされてしまうのです……本当にご気分を害されましたよね……ごめんなさい」

あっ……アレ?
思っていたのと違った。

こんな金髪碧眼の吊り目美少女が、良い子なハズ無いとどこか見た目で判断していた。
そういや、昔おばあちゃんが言っていたな~人を見た目で判断しちゃダメだと……今になってその言葉が信憑性を増す事になるとは。

私は震える彼女の手を取った。

「大丈夫ですよ? セーラ様」

何だかとても、申し訳ない気分でいっぱいだった。
思い込みで誤解してしまうなんて……

「えっ……?」

「アナタをこんな場所に置いて行きません、ほら、僕の手をこうして握っていて下さい」

ギュッと震える彼女の手を握る。

「帰るまで僕はこの手を離しませんから、アナタの側にはいつも僕がいる、暗闇の中でも一人じゃありませんよ?」

「……デューイ様……」

何とか彼女の不安を取り払おうと必死だった、しっかり手を握り優しく語りかけ微笑むと、彼女の震えがようやく収まってきた。

「あっ、アノ! わ、ワタクシもう大丈夫です……花を取りに中へ入りましょう」

冷静になった彼女は頬を何故か赤らめ、そして立ち上がる。

「さっ、デューイ様」

私の手を握ったままの彼女は、洞窟の方へと進んで行った。