「おや? おかしいですね……」
扉の前で立ちすくむ私達を見て、校長は首を捻る。
「何か問題が?」
私の問い掛けに校長はうーむと唸っていた。
そしてガチャガチャとノブを回すと、ようやく鈍く光出す。
「良かった、反応が悪かったみたいですねこの扉、……おや?」
「どうかしました?」
「いえね、男女のペアになる様に組み合わせしたハズだったのですが……」
「えっ……!?」
私とルミエールは顔を見合わせ、校長の様子を伺った。
まさかこんなとこでバレてしまうとか?
校長の次の言葉を固唾を飲んで待っていた。
「まっ、そんな事もあるでしょう! 気を取り直して目の前のドアをオープンして下さいっ!」
ホッと胸を撫で下ろすと、言われた通りに扉を私は開く。
ガチャッ──
特に変わった様子を見受けられない、木製の扉を開くと……
その向こう側には、不思議な景色が広がっていた。
コチラ側はまだ陽の光の眩しいくらいの暖かな昼間なのに、扉の向こうは夜なのか薄暗い。
更にひんやりとした風が肌に触れた。
「では、いってらっしゃーい」
中へと歩を進めると、パタンと扉は勝手に閉じてしまった。
念の為ドアノブを回してみたが、開く様子は無い。
「レクリエーションが終わるまではココから帰れないって事、みたいだねぇ~っ」
ノアは薄闇の中、真っ黒な口を開けている様に見える目の前の洞窟を親指で指し示す。
入口には私の背丈程ある草が生い茂っており、何やら聞いた事もない虫なのかカエルなのかの鳴き声が響いていた。
コレは……レクリエーションとか聞いていたが楽しいピクニック的な行事というより、RPGのモンスター狩りのイメージのが近い気がする。
「硝子の花、ソレを持ち帰れば良いという事でしたよね」
ニコリとルミエールは微笑んだ。
コイツが嬉しそうにすると何だか嫌な予感がしてならない。
「ともかく、この場所のどこかにそれがあるんだろ? 行こうか……」
二人が前を歩き出す、私もそれに続こうとするが何故かセーラは一歩も動こうとしない。
「どうかされましたか?」
「…………っ」
何も答えてくれない。
俯いているので表情はわからないのだが、ワナワナと震えてる様にも見える。
もしや、怒ってる?
こんな汚い洞窟とか、ワタクシ無理ですわ!
とか言っちゃう?
まあ、このお嬢様ならそんな事を言っても違和感がないのだが……
「ワタクシ……」
ようやくセーラは声を発した。
もし、無理だって言われたらもうココはノアに彼女を任せて私とルミエールで花を取りに行けば良いだろう。