更にもう一本の方を辿る。
「おっ! デューイ君また一緒じゃーんよろしく~」
これまた隣にいたノアの小指と繋がっていた。
ぶっちゃけ、このメンバーじゃなけりゃ誰でも良かったのに……
指に絡まる糸はあと1本。
その先を追っていくと、ホールの隅にポツリといる少女が目に入った。
糸を辿り、彼女に近づいていく。
「やあ、はじめまして……僕はデューイ・トランダル同じグループみたいだね」
「…………」
少女はチラっとこちらを睨み付ける様に一瞥し、すぐにまた顔を伏せてしまう。
「えっと……君の名前は?」
相当な美少女だ。
雪の様な白い肌に、陽の光でキラキラと輝く金糸みたいな髪。
「セーラ……セーラ・アシュイントン……」
そう言ってややつり上がった瞳が、コッチをまたキッと睨み付けてきた。
彼女は漫画やゲームに度々登場するちょっと気の強い、いわば主人公のライバル的な見た目をしている。
「さすが、名高いアシュイントン家のご令嬢ですね纏っているオーラが違います」
ルミエールが耳打ちして来た。
「アシュイントン?」
そう聞き返すと、ルミエールは耳元で説明を始めた。
「アシュイントン家といえば、この国で誰もが知る貴族です、王族には親戚もいらっしゃるくらいの方ですよ」
「へ~っ……」
相変わらず目すら合わせてくれないが、まあ高貴なお嬢様は私達なんかと関わりたくないのかもしれない。
「え~っ……それでは、各自グループを組めた様なのでこれからの事を説明します」
校長がそう言って再度指を鳴らすと、それぞれのグループの前に大きな扉が現れた。
木製の特に変わった様子はない、古びた扉だ。
「ルールはとても簡単! 今からグループごとに目の前にある扉を通って硝子の花を摘んで来る事! 時間制限もありません、ゆっくり花を探して来て下さいね! 楽しいピクニックだと思って頂いて結構です」
「硝子の花…………?」
「……半透明の花びらの……魔法薬に使われる物ですわ……」
少女がようやく口を開いた。
とても小さな声だったが、鈴の音の様な可愛いらしい声だった。
「セーラ様は草花に詳しいんですね」
「ワタクシ……魔法薬学専攻ですので……」
少し頬を赤らめて、俯いてしまった。
強気なお嬢様かと思ったのだが、以外な反応だ。
「では、扉が光だしたら入って下さいね」
校長がパンパンと手を叩くと、周りの扉がボウット光を放ち出した。
「んっ……? アレ?」
周りが次々と扉の中に入っていく中、私達の前にある扉は全く反応がない。