いやノアだけではない、テストを攻略した生徒達は皆入学を喜んでいるのか、この状況を喜んでいるのか、ともかく浮き足立っている。
「おいっ! 見ろよ! アノ子可愛いくないか?」
「それならアッチの子だって……」
そんな会話が、あちらこちらから聞こえて来ていた。
「このレクリエーションきっかけで、結婚した人だっているんだよ~、まあそれがウチの兄貴なんだけど……」
「なるほどね、つまり君もコレ目当てで入学したと……?」
私はノアに呆れたとばかりの視線を送る。
「だっ、だってさ~貴重な学生生活をずっと男に囲まれて~なんてオレヤダも~ん」
「フフっ、ノアさんは正直者ですね」
「……ルミエール、お前この行事を知ってて僕に教えなかったろ?」
「なんの事でしょう?」
コイツ、絶対知っていただろうし面白がっていると思う。
なんでコイツが私の執事何だろ、ホント……
「さあ、みなさん静粛に」
ホールの中央、少しせり上がった場所にいつの間にか、アリウス校長の姿があった。
皆が一斉に静まり、そちらの方へと視線が集まる。
「さあ、それでは試験をパスしたみなさん! まずは入学おめでとう」
パチパチパチ──
会場から拍手の音が鳴り響いた。
「今年は例年よりも少し入学人数は少ないですが、皆さん素晴らしいご活躍でしたよ、さて、これからは皆さんお待ちかねの聖パトリシア女学院の生徒さんとの合同レクリエーションの時間です」
うぉぉぉお──────っ!!
待ってましたとばかりなこちらからは歓声が上がり、女学院の生徒達からは拍手が巻き起こった。
なんだかまたもや、面倒な事をさせられそうな予感がして来る。
「私の方で男女混合のグループを作らせてもらいました、同じグループの者同士はすぐにわかるようになっています、まずはグループごとに集まるように」
そう言って校長がパチンと指を鳴らすと、左手の小指に何やら半透明な糸の様なモノが浮かび上がって見えた。
「同じグループの者同士は、その糸で結ばれています。さあ、自分と結ばれた者のところへ……」
小指の糸の先は何本かに別れている、つまりこの繋がった先にいるのが今回のグループ行動の相手なのだろう。
面倒な人じゃなきゃいいけど……
じーっと糸の先を追いかけて見た。
「おやおや……やはり僕とデューイ様は離れられない運命のようですね」
一本目の先は真隣にいたルミエール。
もうこの運命だけは抗えないのかもしれない。