絢爛豪華な装飾品に彩られた部屋の中──

その場にいる全ての人の視線を浴びながら、私達はワルツを踊っていた。

「皆さん、デューイ様の事を見ていらっしゃいますわ」

そう言って微笑む可憐な美少女は、セーラ・アシュイントン嬢。
アシュイントン家の伯爵令嬢様。

ふわふわとした金髪の髪、真っ白な雪のような肌。

あっ、昔アニメで観たお嬢様のキャラがまさにセーラに似ていたが、まあこんな事言ってもここでは誰にも通じない。

なので、私に語彙力が無い事がただただ大変悔やまれる。

そして……私……
いや僕は、デューイ・トランダル。
トランダル家の一人息子……

トランダル家は代々魔法士の家系。
まあ所謂魔法使いで、その中でも王家に仕えるエリートの家らしい……

実のとこ、自分自身もよくわかっていない。
ファンタジーは得意分野ではないからだ。


そして何より大事なのは、私が本当は一人娘だという事だ。

「デューイ様……ワタクシ、お慕いしております」

セーラは私をジッと見つめた。
熱い視線、やはり彼女は本気で僕が好きなのだ。

それならば尚更、真実を告げなければならない。


さて、その前に私が何故今こんな状況になっているのかを順を追ってこれから説明していきたいと思う。