長身の男はそれを聞いてがっくりと項垂れた。

それからもう一度、少年を見上げて、
「・・・・・・・金、金払うから、いくらでも」

「・・・・・・・金ねぇ」
少年は少し思案するような素振りをみせると長身の男はそれを見てすこしだけ安堵の表情をうかべた。

一縷の望みがみえたような気がして。

「・・・・・・・やっぱりゲスな人間のいう事はかわらない」

少年は氷の微笑を浮かべて、殺気の籠る瞳で。
「先ずはさ、スマホ出してよ、動画、撮ったんでしょ」

少年はうずくまる長身の男のポケットを探りスマホを取り出して、動画を確認する。
「どの子だっけ?・・・・・・・えっと、確かこの子だったかな」
そう言うとスマホを空高くほうりなげる。


黒いスマートフォンが空の色と同調して、急速に地面に落ちようとする瞬間、
「顔上げて!」

長身の男の顔とスマホが直線で結ばれた瞬間、少年はスマホ共々にそれを蹴り上げた。

スマホ共々長身の男の歯は粉々に砕け散り、長身の男は意識を失った。

「こんなもんか」
少年は自分に言い聞かせるように言葉をはくと、公園を後に闇の中へ消えて行った。