小太りの男は脳内の思考を命いっぱいに働かせて、
「俺は関係ねーからな」
金糸の髪色をし、オッドアイの瞳をもつ少年に吐き捨てるように叫ぶと、倒れている友人をかえりみることなく駆け出し逃げだした。

「あらあら、お友達、逃げていちゃった」
オッドアイの少年は冷めた表情でうずくまる長身の男に声をかける。

うずくまる長身の男は腹部の痛みと友人に裏切られた悔しさとこれから何が自分に起きるのかを考えて、恐怖に駆られて涙を流していた。
「か、勘弁してください、もうしませんから・・・・・・・」

少年の顔を見上げる。

どう見ても年下の少年に情けなく、なりふり構わず敬語で命乞いをする自分が恥ずかしい。それでも長身の男に刻まれた恐怖はそんなちっぽけなプライドを粉々に打ち砕いていた。

「・・・・・・・彼女だって、同じように泣きながらやめてって言ったんじゃないの?それでやめてないよね」