少年は迫りくるナイフをいとも簡単にすんでのところでよけて、
「そうだね、彼女も悪いと思うよ、でもね・・・・・・・無理やりってのはどうなのかな?僕は嫌いだな、そういうのは・・・・・・・汚らわしいんだよ、だからお前も少しは痛みを感じろ」

長身の男の腹部に拳がめり込んでいく。

「うぅぅうあがぁ」
長身の男はその場に腹部を抑えて沈み込み、息もできない様子でうめき声をかすかにあげた。

小太りの男はその様子を見て、背筋が凍りつく。
「化物かよ」
振り返るとブランコの傍にいたはずの友人の姿はなかった。

「アキラの野郎、逃げたのかよ・・・・・・・マジかよ」

小太りの男からしてみればアキラが逃げるという事は万に一つも考えつかない事だった。

今までだって何度も危ない喧嘩をしてきた。数人相手にしたこともあった。鉄筋を持った相手にだって逃げなかった。

そのアキラが一目散に逃げた現実が受け入れにくかった。

もしかしたら仲間を呼びに行ったのかも知れないという思いもあった。それならば俺はアキラを信じて待つべきなのか・・・・・・・