長身の男は少年の問いかけに対して押し黙ったままだっだがこのままだと殺されるんじゃないかという思いに駆られた。

一筋の汗が額から頬をつたう。

長身の男は黒いシャツが肌にまとわりつくほどに汗をかいていた。

小太りの男はその様子をまじかに見ながらも長身の男の異変があまりにも異様だったため、声を発することができないでいた。

喧嘩や力が小太りの男よりも長身の男のほうが遥かに強いからだった。その彼が一人の少年に気圧されている。

この場で一番強いはずの男はブランコの傍からこちら見ているだけで動こうとしない。

おいおい、この様子にきずいていないはずないだろう。
小太りの男はそう思った。

小太りの男は助けを求めるように後ろを振り返る。

長身の男は半笑いを浮かべてポケットに忍ばせておいたナイフを掴もうとして、右手を静かにポケットに忍ばせた。