誠也が静かに緒方龍彦の元に歩み寄る。

なんて満足そうな顔をしていやがる。

誠也は真白にもたれかかりながら気絶している緒方龍彦の顔をみてそう思った。

「うちの大将を返してくれるかい」

誠也はそう言うと緒方龍彦の肩を担いだ。

「一人で大丈夫ですか?」

緒方龍彦よりも小柄な誠也の体格をみて心配する。

「ああ、大丈夫さ」

なあ、たっちゃん、いつもは俺が担がれたっけな、こんな日が来るなんてな。

誠也は龍彦を担ぎながら空を見上げた。

「空って広いな、果てが見えないや」