誰がどう見ても勝敗は決したようにみえた。

それでも緒方龍彦は片腕を真白目掛けて突く。

脇腹の痛み、折れた片腕で緒方龍彦は体の重心のバランスをとるのが難しくなって、初めにみせたような凶器にも等しい拳の勢いはなりをひそめつつあった。

真白は同情してしまい攻撃をよける事に徹していた。

常人なら気を失っていてもおかしくない。

真白はセシリーの顔をチラ見した。

セシリーは真白の迷いに気づいて、

「早く決めてしまいなさい、それが彼のためでもあります」

「・・・・・・・はい」

真白はとどめを入れようと手刀を腹部に突き刺した。

「・・・・・・・うっ」

緒方龍彦の悲鳴が少し漏れるも、

「やっと捕まえた」