緒方龍彦は喧嘩の邪魔になるとセシリーの存在を疎ましく思った。仲間の誰かが人質に取ったりと、喧嘩の邪魔をされる心配もあった。

緒方龍彦は卑怯な行動を嫌う男だった。

強い者と正面からぶつかり合うことに美徳を感じるタイプの男だ。

たぐいまれなる腕力を持っているのだから卑怯とは無縁の喧嘩してきた。

硬派をとおして生きてきたという自負もある。

何よりも自分よりも強い人間がそうそういるとも思っていない。

「誠也、あの白髪の女の子を守ってやってくれ」

誠也に仲間の暴走を止めるように頼んだ。

緒方龍彦が信用しているのはこの大勢の中で誠也一人だけなのだった。