桜井南は一言で言えば平凡だった。両親の仲も睦まじくて、いわゆる中流家庭。
友達も多くはないが、それなりには友人と呼べるものもいる。

成績も平凡、容姿も平凡、歩んできた道も平凡。

そんな毎日に飽き飽きしている節もあった。

だからと言って、興味本位で死地に赴くような度胸もなかった。

あの日、友達と繫華街を歩いている時に三人の男に軟派されたときに彼女はついて行かなかった。

いかにも軽薄そうな男。

その長身の男が生理的にうけつなかった。

「俺たちレッドヒーローズってチームに入ってるんだから、安全だよ、なんせヒーローだからな」

軽薄そうな男が冗談交じりに自分はカラーギャングだと名乗りあげた。

西高の中にはそのレッドヒーローズの人を彼氏に持つ者もいたし、その彼女は彼氏の権力を笠に着て、学校でマウントをとっていた。