その洋館はそこにあっても周囲からの干渉嫌い、外界を寄せ付けない雰囲気がある。事実、そこに住む二人の住民は、謎に包まれていた。

近所に住む桜井南(さくらい みなみ)はその洋館を毎日のように見上げ、一体、どんな家族が住んでいるんだろうか?などと色々な思案を巡らせては自分の通う、市立西林高校に登校していた。


「セシリー、窓の外に何かあるのですか?」

洋館二階の角部屋、セシリーの自室の大きな窓を覗き込み一点を見つめる彼女に金糸の髪色をしたオッドアイの少年が声をかけた。

セシリーはカーテンを閉めて振り返る。

「いえいえ、いつものことですよ。こちらを毎日見上げる少女をみていただけです」

「そうですか?たしか、このまえの仕返しは彼女のお友達でしたね」

「ええ、そうよ。彼女の痛みがジンジンと私の心に共鳴するんですもの、安眠妨害も甚だしいわよ」

セシリーは長く白く輝く絹のような髪を右手で振りほどく。

一本一本光輝いて髪が所定の位置に着地する。

それは幻想的で神秘的に映って、とても美しかった。