「じゃ、じゃあ、勝負しようぜッ!」
「勝負?」
「今から、メリーさんに電話かけて家に来たら“俺の勝ち”来なかったら“お前の負け”でどうだ?」
ここまで言った以上、慶太は下がるにも下がれず、絶対に幽霊が居ることを証明してやる!という、ちっぽけなプライドを守るために訳のわからない勝負を挑む。
普段の陽一なら、慶太のくだらない言い出しを聞き流す。しかし、負けず嫌いの陽一は勝負という言葉に反応してしまい、
「いいぜ。ノッてやるよ」
くだらない賭けに乗ってしまった。
幽霊なんかこの世にいねぇーよ。てか、いたら殺された奴らが、警察官に乗り移って事件解決するだろ。
陽一には、絶対的な自信があった。いや、むしろそんな事があってたまるかと意地になる。
「決まりだ。携帯借りるぞ」
「いいぜ」
陽一は、慶太に携帯を投げ渡した。
「…じゃ、じゃあかけるぞ!」
「おう」
突然、慶太が緊張し始めるが、陽一は心に余裕があり気楽に返事をする。
「ピ・ピ・ピ…トゥルルル…ピ」
慶太は、繋がったのを確認して直ぐに電話をきった。
「これで、かかってくるはずだ」
「おい。もし、この番号が悪徳業者だったら、お前のせいだからな」
自分の個人情報を知らない番号へと知らせているリスクを考え、陽一は慶太を睨む。
「大丈夫だッ!俺の友達もこの番号でかけたし」
何故か、慶太は自信満々に答えた。