「…確か、悪霊は自分の空間を作っているから、普通の人にも自分の姿が見えるんだよな?」
『そうよ』
陽一は、頭の中を整理しながらメリーに尋ねる。
「だけど、お前は“メリーさん”で、電話掛かってきた相手を驚かしに行ってるんだよな?
その相手が普通の人だったら、どうやって驚かすんだ?」
陽一が疑問に思っていたのはそこだ。
メリーの“人を驚かしてこそ幽霊。人を恐怖のどん底に堕としてこそ幽霊よ!”という、最低な定理を聞き、陽一は引っ掛かりを覚える。
メリーが陽一の家に来た時、陽一に高い霊感と特殊能力が目覚めた為、メリーの姿が見えた。
しかし、普通の人間がメリーを呼び出し、メリーが家に訪れても、見えないので意味がないのだ。
陽一の鋭い質問に、メリーは動揺せず余裕の笑みを浮かべる。その笑みから、どんな仕掛けがあるのか、内心気持ちが高ぶる陽一だったが、、
『それは、幽霊を5分間だけ実体化することが出来る魔法のアイテム。その名も…“実体化ブレスレット”!カッコイイでしょ?』
「名前ダッサ!ひねりの一つもないのかよッ!」
インパクトがあまりないダサい名前により、陽一の好奇心は粉砕された。期待してた分、ダメージも大きかった。