「質問なんだけど、その空間に入ったとか分からないのか?」

『普通の人は分からないけど、貴方や霊感の高い人は分かるわ』


メリーの言葉を聞き、陽一はある事を思いだす。昨日、古池と話している途中に悪寒を感じた理由が分かり、再び納得をする。


『2つめは邪念。邪念は悪霊にとって力の源。邪念が強ければ強いほど、広範囲に空間を造れる厄介な力よ』


「昨日の黒いオーラみたいなやつだな。お前の攻撃は、全部当たらなかったけど、俺は当たったぞ?」


昨日、陽一たちが悪霊と戦った時、黒いオーラによって、メリーの攻撃は当たらなかった。しかし、陽一は悪霊に竹刀で腹部に叩きつけることが出来た。


『これを見て』


メリーは、右側の髪を耳にかける。髪に隠れていた右耳に赤を基調とした、ルビーに似た小さな石のピアスがついていた。


『これは、“霊封石”(れいふうせき)私は、力のコントロールをすることが出来ないから、これで力を抑えてるの。ピアスを外せば、力を解放することが出来て、悪霊に攻撃が出来るわ』

「へぇー凄いな、それ」


陽一は、ピアスに秘められた力に感心しながら見つめる。