「やべッ!手加減できなかった!大丈夫なのか、こいつ?!」


悪霊相手でも傷つけたくないと、陽一なりに加減をしたつもりだったが、気絶している女性を見てパニック状態になってしまう。


『大丈夫。私たちは、一度死んでいるから痛みは残らないわ』


「そっか。よかった……」


メリーの言葉を聞き、陽一は安心して地面に座り込む。


得体の知れない悪霊と戦い、精神的にも肉体的にも疲れが一気にでたのだ。


『頑張ったわね』


勇敢にも戦い切った陽一に対して、メリーは手を差し延べて微笑む。


「…お、おう」


先程の険しい表情とは違い、優しい表情をするメリーに見とれながら、陽一は手をとり立ち上がった。


『あ…私、今まで何を…』


気絶をしていた女性が目を覚まし、辺りを見渡す。さっきとは違い、黒いオーラは消え、まるで別人の様に陽一たちを見ておどおどしている。


『あ、あ…そうだ。私、貴方たちに酷いことを…!』


女性は頭を抑えながら、自分がやったことを全て思い出し震え始めた。


そんな女性に、メリーはためらう様子もなく近づく。