悪霊は、陽一に近付きたくても水鳶が邪魔をし、回避をするのが精一杯だった。


陽一は、目の前の現状をすぐに把握することが出来ず、悪霊に攻撃をする水鷲から目を離せずにいる。


『大丈夫?!どこか、怪我をしなかった?!』


悪霊の隙間をつき、メリーは血相な顔で陽一の元に駆け寄る。


『お、おぅ。大丈夫だ…』


血相な顔をしているメリーを見て、陽一は少し驚き目をパチパチとさせた。


『そう。良かった…。悪いけど、もう少し我慢をしてて。“水よ…護りたまえ”』


メリーの唱えと共に、陽一の周りに大量の水が集まり、水の壁が陽一を囲む。


「なッ?!おい!何すんだよッ?!」


陽一は、突然の出来事に焦り、周囲を囲まれた水の中で叫ぶ。


『貴方はそこに居て!私が貴方を護るから!』


「はッ?!おい!ここから出せよーーーー!」


陽一の安全の確保をしたメリーは、悪霊の元に向かう。


『“水よ…我に集え”』


メリーは唱え、手を夜空にかざす。水はメリーの手に集まり、丸くて長いこん棒が出来た。


『はぁーーー!』


メリーは、悪霊にこん棒を振り降ろす。