【捕マエタ…!】


陽一が考えている間に、悪霊が隙を突き陽一の首を両手で掴む。


陽一は、竹刀を地面に落としてしまった。首を掴んだまま、腕力だけで陽一を浮かす。陽一の足は地面からかなり離れていた。


「かは……!」


首に掛かる手の力はさらに込められた。陽一は耐えきれず、悪霊の両腕を首から離そうと掴む。


しかし、女性とは思えない腕力があり、陽一が掴んでもびくともしなかった。


【サァ、私ニソノ力を差シ出シナサイ…!】


悪霊の目は瞳孔が開いており、不気味に微笑む。


ヤバい!このままじゃ---!


【キャアッ!】


突如、悪霊の顔に何かの形をした水の固まりが飛んできた。悪霊はその反射で、陽一を放す。


「ゴホ!ケホ!…ハァ…ハァ…」


陽一は解放され、呼吸ができる様になった。口の中に広がる血の味に、不愉快さを感じて怪訝な顔をする。


『そこまでよッ!』


上空から聞こえてくる声に、陽一と悪霊は一斉に振り向く。