【ナラ、力ヅクニ頂ク…!】
悪霊がそう言い、両手を上にかざす。それと同時に、周りに落ちていた大きな石が次々と浮かび上がった。
日が暮れ辺りは暗いのに、石を眼中で確認できるほど、ハッキリと見えていた。
「おいおい…嘘だろ?」
陽一は、目の前の現状に顔を引き攣りながら眺める。
悪霊の両手が陽一に向けられた途端、石が次々と飛び掛かってきた。
「卑怯にも程があるだろーーーッ!」
陽一は悪霊に叫びながら、石から逃げる。悪霊は陽一の叫びを聞いても、構わず攻撃を続けた。
くそッ!逃げているばかりじゃダメだ!何か考え---?!
陽一は考えながら逃げていたが、正面から来た石から避けられず、反射で竹刀で石を受け止めてしまった。
痛くない…?
何故か、体に痛みを感じない。とっさに閉じた目をそっと開ける。
目の前には、真っ二つになり地面に転がっている石があり、何故か竹刀は折れていなかった。
普通なら、大きな石が竹刀に当たると折れてしまう。陽一は現状を理解することが出来なかった。