どうする!どうする…!


陽一は、逃げながら考えていた。悪霊を林におびき出したのはいいが、このままだと捕まってしまう。



なら、腹をくくるしかないな……。


陽一は立ち止まり、悪霊の方に振り向く。


しかし、陽一は悪霊に対抗できる術を持っていない。持っているのは、竹刀2本だけ。


イチかバチか賭けてみるか……!


陽一は竹刀袋から竹刀を取り出し、悪霊に向ける。


【頂戴ーーーー!】


目の前に居る陽一を悪霊は、まるで餌に飛びつく猛獣の様に襲い掛かった。


陽一は持ち前の反射神経で回避し、悪霊と対角線になるように移動する。


陽一に回避された為、悪霊は勢いよく地面に衝突した。


【ドウシテ、ドウシテ逃ゲルノ…】


悪霊はフラフラと立ち上がり、首をグルンとねじ曲げて陽一を見つめる。


「お前にやる物なんて、一つもないんだよッ!」


陽一は怖じ気づくことなく睨み返し、悪霊にタンカをきった。