「逃げろ!古池!」


幽霊が見えない古池には何も支障がないが、それでも陽一は叫んだ。


陽一の本能が警報を鳴らす。“逃げなければならない”と。



「え?…うわぁぁぁぁーーー?!」


古池は、陽一の言っている意味が分からず、後ろに振り向き、幽霊を見て驚いた。


陽一は、古池に幽霊が見えているのに驚く。



「うわぁッ!」


「古池ッ?!」


幽霊は、古池に手をかざし、手を右の方向に振った瞬間、古池が右の側へと吹き飛ばされる。


古池は、吹き飛ばされたショックで意識を失った。


陽一が幽霊に睨みつけた途端、女性は首を傾げ不気味に微笑む。



【貴方ガ欲シイノ…】


陽一は、ようやく理解することが出来た。目の前にいるのは、幽霊ではなく“悪霊”だと。



こいつの狙いは、俺だ。なら--!


「こっちだ!来いよッ!」


陽一は、古池をこれ以上巻き込ませないために、林の中に走りだす。


【頂戴…貴方ノ力…頂戴ーー!】


悪霊は叫び声を出しながら、陽一を追いかけた。