「あっ!部長知ってますか?この神社に幽霊が出るっていう噂があるんです。
幽霊なんていないのに、みんな信じてここに近寄らないんですよ。おかしいですよね?」
古池は、幽霊なんていないのにと笑い飛ばす。古池は幽霊を信じていない様子だった。
幽霊を信じていないから、こうして此処で練習をして、陽一に冗談みたいに言えるのだ。
「お、おぅ。そうだな。幽霊なんていないよな…」
陽一は、戸惑いながら答える。前の陽一なら、強気で答えていたが、真実を知っているせいで、古池の意見に賛成できないのだ。
陽一は、複雑な気持ちになっていた。ここで、真実を伝えるべきではないかと。
しかし、伝えたところで一から説明するのも面倒くさい。それに、メリーと約束をしているので、詳しい説明が出来ない。
陽一は、黙っておくことにした。
「部長すいません。引き留めてしまって。俺に気にせず帰って下さい」
古池は、陽一に申し訳なさそうに謝る。