『それを阻止する為に、私が貴方を「もういい!たくさんだッ!」
陽一は、声を上げながらメリーに言った。
「頼むから、もう帰ってくれ…」
陽一は、告げられた真実に頭が追いつかず、切羽詰まった表情をメリーに向ける。
『…分かったわ。私も貴方にたくさんのことを言い過ぎた』
こっちが、焦ってどうするの…。
陽一をここまで追い込んでしまうぐらい、自分の自制を止められなかったメリーは、心の中で自分を叱った。
『今日のところは、帰るわ。だけど、その前に貴方に渡したい物があるの』
メリーは、何故か窓の外を指差す。
『窓を開けて、庭を見て』
陽一は、メリーに言われたように窓を開けて庭を覗いた。庭を見ると、漬け物石と同じ大きさの石が、夜にも関わらず翡翠色に怪しく光り輝いていた。
「あれはなんだ?」
『霊結石よ。これを置いておけば、家全体に結界が張られ、悪霊から貴方の力が感知されない。
もちろん、悪霊や霊は、結界の内側には絶対に入れない』
「…お前たち幽霊は、結界に引っかからないのか?」
『そうならないように、造られているの。それと、言い忘れてたけど、あの石は普通の人には見えないし触れないから』
「チッ…」
陽一は、舌打ちをする。メリーの発言から考えると、メリーを含めた幽霊たちが、陽一の護衛または監視をすることを示していたのだ。