「たく。お前のその“負けず嫌い”には敵わないな」


慶太の言う通り、陽一はかなりの負けず嫌い。やられたら10倍返しをする。そのお陰で今までの試合は一度も負けることなく勝ち取ったが、その反面悪い性格でもある。


「本当、お前は筋金入りの剣道バカだな」


「うるせぇ。不真面目が。ほら、試合するぞ。さっさと準備しろ」


「ヘイヘイ。ワカリマシタ。」


内心面倒臭いと感じ、適当に返事をする慶太。しかし、やる気が無いことが陽一にはバレており、


「…準備しろ」


「悪かった!俺が悪かったから、睨むのやめてくれ!」


陽一はさらに、眉間を寄せて鋭い目付きで睨む。命の危機を感じた慶太は、懸命に命乞いをした。そして、自分の荷物を置いている場所に向かい、面と防具を着ける。


「んじゃ、さっきの借り返させてもらうからな」


竹刀を陽一に向け、何処から湧いてくるのか自信まんまの表情で宣戦布告を行う。


「臨むところだ。来いよ」


陽一は何も動じず、自信に溢れた表情で慶太の挑発に乗る。後輩に審判をしてもらい、2人は構えた。


「はじめー!」


ダン-----!!