遅い…。
陽一は机に頬を付き、苛立ってが収まらず人差し指で机をコツコツと、突き続ける。
その理由は、電話してから30分経つが、メリーが来ない。もしかして、このまま来ないか?…と不安が頭を過る。
『ごめん。遅くなった』
「うおォォォォ?!」
陽一の心配とは裏腹に、壁からすり抜けて部屋に入って来るメリー。唐突な出来事に、驚きながら後ずさりをする陽一。
「どっから入って来てるんだよッ!心臓に悪いだろーが!」
陽一はバクバクと心臓の音が大きくなるのを沈めようと胸に手をおく。そして、メリーに指を指しながら注意をする。
『仕方ないのよ。私は、幽霊だから何処からでも入れるのよ』
メリーにとって、この入り方は普通だと言わんばかりの主張に゛こいつ・・・!゛とキレそうになるが、メリーの言葉に引っ掛かりを覚え、
「…ちょっと待てよ。昨日、お前が俺の家に来た時も“それ”で入ってきたのかよ?!」
『そうよ。昨日、貴方の家に入った時も電話で注意を逸らして反対側に来た時も、この方法で入ったの。これが幽霊の正しい入り方なのよ』
陽一の疑問に対し、平然と答えるメリーに頭がさらに混乱する。
陽一は、状況を飲み込む為に、頭の中で整理する。
つまり、昨日の出来事は、メリーが陽一の家に来た時は玄関から入り、電話で後ろに居ると注意を逸らして、陽一の部屋のドアから入って来たのだ。
なるほど!幽霊はそうやって入るんだな!納得!納得!
「…じゃねーよ!!!やっぱり、不法侵入してるじゃねーか!」
昨日といい、今日といい不法侵入をしていることに気付き怒る陽一。