『フレー!フレー!ち・あ・き!』
原田が、難しい問題に悩んでいるのを見たのか、老人は応援を始める。
じーさんッ!原田の邪魔するなッ!てか、その前に見えてねーからッ!
本当は、老人に直接伝えたい陽一。
しかし、ここで老人に話しかけると、陽一が盛大な独り言を言っていると、クラスメイトから冷ややかな目で見られる。それを避ける為、陽一は我慢をしているのだ。
『わしの声が聞こえんのか…』
ようやく老人は、原田が自分のことに気付いてくれないと察したのか、寂しそうに呟く。
気の毒だな…。
陽一は、孫に気づいてもらおうと、必死でアピールをする老人に同情を抱く。どうにかしてあげられないかと考え始めたが、、
『…しかし、千晶のクラスは可愛い子が多いの~』
おじいさんは、クラスの女子を眺めながら鼻の下を伸ばす。表情はニヤけており、変態へと変貌していた。
原田ーーッ!じーさんが変態になってんぞッ!
陽一の助けようとした思いやりは、いとも簡単に壊されたのだ。
『あ~!カメラがあれば、写真を撮って保存してたのにッ!』
老人は浮いているにもかかわらず、悔しそうにその場でジタバタを繰り返す。
悔しがるなーーッ!てか、死後に犯罪を犯そうとするなーーーッ!
悔しがる老人に、怒りを爆発させた陽一。
しかし、この出来事は、陽一にとって“長ーい1日”になる序章にすぎなかった。