まぁ、危険はなさそうだし、ほっといても大丈夫だろ…。
陽一は、しばらく様子を見ることにした。
「で、それがどうしたんだ?」
現状を分かっていない慶太は、陽一に聞いた。
「…いや、なんとなく聞いただけだ」
「ふーん…」
はぐらかす陽一に、疑いの眼差しを向ける慶太。
「…まぁ、いいや。それより、お前に聞きたいことがあるし」
「なんだ?」
「昨日…本当に、メリーさんは来てないのか?」
慶太の一言に、歩みを止める陽一。そして、呆れた表情で、
「はぁ…。だから、来てないって言ってるだろ。何回も言わせるな」
昨日、メリーが帰った後に目を覚ました慶太。
慶太に、その後どうなったのかを聞かれたが、陽一は“来なかった”と答えた。
「本当に、本当にか?」
「本当だ。来てたら、俺たちはあの世行きになっているだろ」
陽一は、あの訳が分からない出来事を慶太に話すと、さらに事態がややこしくなると感じ誤魔化すことにしたのだ。
「遅刻するから、先に行くぞ」
これ以上、話が広がらないように、早足で学校に向かう。
「おい、待てよ!」
慶太は慌てて、陽一の後を追いかけた。