誰も居ない事に、陽一は肩の力が抜ける。


なんだよ…。やっぱりガセネタじゃないか。


安心したつかの間、後ろに気配を感じる。陽一は慌ててドアの方に振り向いた。


そこには、1人の少女が居た。


腰まである長くて真っ黒なツヤのあるロングヘアー。目はくりっとしていて、純白の半袖のワンピースを着ていた。


見た目から判断すると、陽一と同い年ぐらいの少女。



「この…不法侵入者がーーーーッ!!」


陽一は姿を見た瞬間、ためらいもなく枕を少女に投げる。


バンッ!


『きゃあっ!』


陽一の投げた枕は、少女に当たるギリギリの所で避けて、ドアに当たる。


「何がメリーさんだッ!結局、ストーカーじゃねーかッ!

こっちは、お前のせいで慶太は気絶するわで、大変だったんだよッ!

不法侵入したんだ、警察に通報するからなッ!」


陽一は、今まで溜まっていた怒りや少し怖がらされた悔しさを少女にぶつける。


ろくでもない事に巻き込まれ、苛立ちを感じている陽一は、警察に電話をかけようとしたが、、


『…幽霊(わたし)が、見えるの?』


「何言ってんだ。見えるに決まって…」


陽一は、言葉を詰まらせる。よく見ると、その少女の足は床についておらず、上下にふわふわと揺れながら浮いている。おまけに、少女の身体の周りには不思議な光に包まれていた。


その光景に、頭で理解が出来ず、なす術もなく、ただ、目の前の光景を眺める。辛うじて、陽一の本能がある結論を出した。


「なんで、俺見えてるんだーーーー?!」


部屋いっぱいに、自分自身の声が響き渡るぐらい、大声で叫ばずにはいられなかった。