「――ふうふって、なあに?」
布団を掛けて頭を撫でた時に、寝そべる太陽からそんな問いが投げかけられた。
ベッドの側で胡坐を掻きながら「んー…」と唸るような声を出す。
子供の質問に答えるのは難儀だと思う。考えたこともないような事をふいに聞かれて、いつも答えを導き出す事に迷う。幼い妹にも何度もこういう問答に付き合わされてきた。
「…好き同士のこと?」
さんざん考えあぐねた挙句、月並みな事しか言えない自分に思わず苦笑する。そんな俺をじぃっと見つめながら、太陽は再び小さな口を動かした。
「じゃあ、おとうさんとおかあさんはすきどうし?」
「…うん、そうだな」
つーか、そうじゃないと困る。
すぐさま肯定しながらもそんな事を考える俺に、太陽は止まる事を知らないように矢継ぎ早に問いを続けた。