あいつに促されるまま、検査も受けた。けれど結果はその原因になるような事項は見受けられないとの事だった。俺とあいつ、互いに。

それが余計にあいつを苦しめる材料になったのかもしれない。原因さえ明らかになれば、“ああ、そうか”と納得できたかもしれないのに。それなら仕方ないと、諦めれたかもしれないのに。


医学上では子供を授かれると出ているのに、一向にその時を迎えられない。

そんなジレンマに、あいつの心は蝕まれていったんだと思う。





結婚ラッシュの次は出産ラッシュがやって来る。それはもうテンプレのようなものだった。


昔からの知り合いや近しい友人、はたまた職場の人。多方向から知らされる妊娠の報告は、きっとあの時のあいつにとってどんな罵詈雑言を浴びせられるよりも辛いものになった。


笑い声が絶えなかった空間はいつしかあいつの叫びが木霊するようになった。どうして、なんで、と涙を流すあいつを抱き締める事しかできない自分の腕がひどく無力だった。