「やくそくしたのに!!うそつき!」


悲痛な声に乗せられたその言葉に、息ができなくなる。

子供の言葉は直球すぎて、時に刃物よりも鋭利なものになる。思いのままに吐き出された言葉は、俺の心臓に深く突き刺さった。



「太陽!そんなこと言っちゃダメでしょ」

「だって、おとうさんも、かえってこないじゃん!」



菜穂が息を呑んだのが気配で分かった。



「ねえ、どうして?ぼくが、わるいこだから?」



大きな瞳からぼろりと大粒の涙が零れ落ちるのを見て、胸が千切れそうになった。


親が離婚した時、原因は自分にあるのだと真っ先にそう思った。自分が望まれたような子供になれなかったから、だから父親は俺を捨てたんだと、幼いながらにそう思って涙を流したこと、今でも鮮明に覚えている。