「うわ~!超いいじゃん!」
「だよね。てっきり小夏ちゃんもこれ狙いなのかと思った」
「いやぁ、今日は完全にノーマークだった~」
どうやら子供服の事で盛り上がっているらしい2人から一歩離れたところでその様子を眺めていると、足元がくいくいと引っ張られた。視線を落とせば、くりくりとした瞳がじぃっと見上げてきている。
なんか、前にもこんな場面あったな。
既に懐かしく思う気持ちを抱えながら視線を合わせるようにしゃがみ込めば、太陽は舌足らずな口調で「凛ちゃんは?」と問いかけてきた。
「ひまわり畑に行ってんだって」
「…ひまわり?いいなあ」
本当に羨ましそうに眉を下げるもんだから、曖昧に笑ってしまう。すると俺の向こうに何かを見つけたのか、もともと大きな目をさらに大きくした太陽は「あ!」と声を上げて一目散に駆けだそうとした。
「ちょ、待て待て」
「やあだ!!あれ、あれほしい!!」
咄嗟に行く手を阻むように腕を伸ばして通せんぼをすれば、そこにしがみついて大きな声を上げる。後方に視線を向ければ、店員が風船を配っている光景を捉えた。