「真島さんって休みの日、何してるんですか?」
あのバーベキューから3日が経った昼休み、いつものように喫煙所で一服している最中、向かいに立つ羽賀ちゃんからそんな質問が投げかけられた。
狭い箱の中には既にふたりが吐き出した分の副流煙が漂っていた。白い靄がかかっているような空間の中、キラキラした瞳が向けられる。
そんな目をされても、期待に添えるような返答は持ち合わせていない。そう思いながらも「んー」と唸るような声を出し、口を開いた。
「ジム、とか?」
嘘は言っていない。実際、転勤先では休みの度に通っていた。それでもこうしてつい疑問形になってしまったのは、こっちに帰ってきてからはその場所に一度も出向いていない事に気づいたからだ。
「いいですねえ、ジム!走ったりとかするんですか?」
「まあ、そんなとこ」
「さすがです。美を維持するには運動がいいって言いますもんね!」
「や、ただ身体動かすのが好きなだけだって」
美がどうとか考えた事もなかった。そもそもその情報だって正しいのか?と首を傾げてしまう。それでも「いやあ、意識高いですよ」と褒め言葉をくれる羽賀ちゃんは、きっと相手を気分良くさせる事に長けていると思う。