「や~ん!凛かわいい~!こっち!こっち向いて!」


早々に撮影大会が繰り広げられていた。

笑顔でピースサインをする娘を褒めちぎりながら何度もシャッター音を響かせる羽賀ちゃんに思わず笑ってしまう。


一通り写真を撮り終えて満足した羽賀ちゃんからウェットティッシュを受け取る。「後で手、洗いに行きましょうね」と言う声に頷きながら泥で汚れた手を拭っていると、再び声が掛かった。



「どうです?いい感じの子、いました?」


いい感じも何も、まさかの菜穂の登場でそれどころじゃない。それにこれに参加したのだって出会い云々よりもただの気晴らしが目的だったのが本音だ。

元嫁がいたとは到底言えず「んー、どうだろ」と曖昧な返事をした俺に、羽賀ちゃんはいつものように悪戯っぽく笑った。



「じゃあ、私とかどうです?」


この子はまた、本気なのかそうじゃないのかよく分からないことを口にする。