広場の方まで行くと、娘と遊んでいる羽賀ちゃんの姿が見えた。砂場のような所にしゃがみ込んでは何かをせっせと作っている2人の姿に、荒ぶりかけていた心が浄化されていく。
「何してんの?」
頭上から声を掛ければ、羽賀ちゃんは弾かれたように顔を上げて「真島さん!」と大きく開いた瞳に俺を映す。
「ちょ、いきなり声かけないで下さいよお!めちゃビックリしました」
「ごめんごめん」
笑いながらも2人と目線を合わせるようにその場にしゃがみ込む。目の前に並べられた丸い土の塊を見た瞬間「泥だんご?」と勝手に口が動いていた。
「そうです!小さいとき、よく作りませんでした?」
「そういや作ったなあ」
「ですよね?凛が最近ハマってるみたいでよく付き合わされるんですけど、これが一度作り出すと楽しくって」
まるで子供のように屈託のない笑みを見せて手の中の泥を丸める羽賀ちゃん。その向かいで、同じような笑みを浮かべる凛ちゃんがキラキラした瞳で俺を見た。