「可愛い子、たーくさん来ますよ」
にひひ、と、悪戯っぽく笑う。きっとたくさん苦労をしてきただろうに、そんなものを微塵も匂わせないその明るさが、いろんな人を惹きつけるんだろう。
そんな事を考えていると前方に視線を移した羽賀ちゃんが「あ、噂をすれば」と零した。辿るように視線を向ければ、此方に歩いてくる集団が目に入る。
ざっと数えて大人が8人くらいだろうか。子供に関しては10人を超えているだろう。
なんか、すげえ大人数になりそうだな、これ。
今更だと言われそうな事を思う俺の隣で、羽賀ちゃんが「みんなー!こっちこっちー!」と元気よく手を振る。数秒後、目の前まで来たその集団に、羽賀ちゃんは丁寧に俺を紹介した。
軽く頭を下げ合い、「はじめまして」という言葉が行き交う。中には旦那であろう人物を連れてきている人もいた。
「あれれ?ナホちゃんは?」
ふいに隣から発せられたその名前に、肩がぴくりと揺れる。