2週間後に予定されたその日は案外すぐにやって来た。

指定されたのは海に併設されているバーベキュー場。その場に着くと、もう既にさまざまな顔ぶりが揃っていた。聞いていた通り、社の人間も居る。



「真島さ~ん!」


遠くの方でブンブンと手を振る羽賀ちゃんを見つけ、そちらに足を向かわせる。「お疲れ様でーす」と軽く頭を下げる羽賀ちゃんの傍らで、小さな女の子と目が合った。



「あ、こっちは娘の凛《りん》です!今年で4歳です」


その子の頭をくしゃりと撫でながら羽賀ちゃんは俺たちを介した。

少しの間を置いて「こんにちは」と小さく挨拶をするその存在は、淀みなんか知らないような大きく澄んだ瞳で俺を見上げてくる。同じく「こんにちは」と返しながら、自然と頬が緩んでいくのが自分でも分かった。


「ちゃんと挨拶できて、えらいな」

「うん!」


向けられるとびきりの笑顔は、何度も見た羽賀ちゃんのそれとよく似ていた。子供の笑い方は母親に似るってよく聞くけど、本当なんだなと感心する。