「羽賀ちゃんは今日も相変わらず盗撮魔だな」
「えへへ~!いいじゃないですかあ!減るもんじゃないし!」
屈託のない笑顔を浮かべる羽賀ちゃんは、この会社では顔が広く有名らしい。気さくな性格に愛らしい見た目も相まって、部署を問わず色々な人から可愛がられている。みんながそう呼んでいるから、俺も自然に“羽賀ちゃん”と呼ぶようになった。
そんな羽賀ちゃんはよく喫煙所《ここ》に顔を出す。どうやら田辺と仲が良く、いつもここで駄弁っていたらしい。そこに俺も加わり、今では休憩時間はほとんどこの3人で雑談するようになっている。
そして何が楽しいのか、毎回俺の姿を盗撮してくる。俺がそれに気づいている時点で盗撮とは言わないのかもしれないが。
「見てください、これとか超イイ!インスタ映えしますよ絶対!」
…“インスタ映え”という言葉に若さを感じる。
そんな事を言ったらきっと“おじさんみたいなこと言わないでくださいよ~”ってケラケラと笑われるんだろうな。