――ピピピピピピッ
突如鳴り響いた機械音に今さっきまで見ていた夢が強制的に遮断される。枕元にあるスマホを手繰り寄せ、画面を一度タップしてアラームを止めた。
「……」
随分と懐かしい夢を見た。
菜穂と出会った頃の夢を見るのは初めてかもしれない。
そんな事を考えながら、まだ気怠さが残る身体でむくりと起き上がる。
カーテンの隙間から微かに差し込む日差しが今日も快晴である事を知らせている。それにちらりと目を遣ってから、リビングへと足を向かわせた。
平日のど真ん中である水曜日。今日も昨日と変わらず仕事に向かわなければならない。繁忙期を迎え、山積みになっている仕事内容を思い浮かべては鬱々とした気分になる。
そんな気持ちごと呑み込むように、キンと冷えた水を喉に流し込んだ。