どんな懺悔をすれば、あの日々に戻れるんだろうと、何度も考えた。


『私たち、いつまで一緒にいられるのかな』


私はいつも少し臆病で、いつまで経っても自分に自信なんか持てなかった。まだ見ぬ先の事を考えては途方もない不安を抱えてしまっていた。

いつも目の前の現実だけを見据えて、どんな事にも動じない強い心を持った貴方とは、きっと正反対だったと思う。だからこそ上手くいった事もあれば、だからこそ上手くいかない事もあった。


“ずっと”だとか、“永遠”だとか。そんな言葉を真っ向から信じられなくなったのはいつからだったんだろう。いつか来るであろう別れに怯えていた私の言葉に、隣に立つ貴方は『んー、どうだろう』と曖昧な笑みを見せる。


『それが分かったら苦労しないだろうな』

『ふふ。まあ、そうだよねえ』


とてもひとつ下だとは思えないくらい、いつもどこか達観している貴方らしい言葉だと思った。思わず笑ってしまった私に、流れるような視線が向けられる。


その茶色の瞳に見つめられる瞬間が、とても好きだった。射貫くようなその真っ直ぐな眼差しを、ずっと私だけに注いでほしかった。




『まあでも、ひとつだけ分かる事は』


薄く笑みを浮かべながら、繋がれた手にふっと視線を落とした。伏せられた瞼を縁取るその睫毛の一本一本ですら、とても愛おしく思えた。





『俺からは、離さないよ』