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二週間後、私は都内のアパートで小型の引っ越しトラックを見送り、荷受けのため慌ただしく埼玉県の辺境へと電車で移動していた。

「荷物と一緒に私も乗せてくれたらいいのに」

ブツブツ言いつつ、何でも競争するのが好きな私はトラックより早く現地に着いてやろうと駅までダッシュしてしまった。

車窓に流れる景色はさきほどからビルを滅多に見かけなくなった。畑や田んぼを間に挟みながら駅ごとに小さな商店が固まっている。
こんな土地に引越ししたことを親に言えば左遷されたこともばれるし、間違いなく罵倒されるだろう。

「お母さんに何て言おうかな……」

窓にもたれて小さく溜息をついた。


両親は筋金入りの学歴至上主義者で、私はリビングの壁に貼ってある大学偏差値表を見て育った。

〝一番でなければ価値がない〟

それが両親の口癖だ。
なぜ両親がそこまで凝り固まってしまったのかというと、その昔、父は就職した企業で学歴の壁に阻まれ辛酸を舐めたらしい。
結局父は私立校の教師に転身し、その苦労を支えた母も一緒になって娘の私にスパルタ教育を徹底した。テストで一位を取れなければ厳しく叱られたものだった。

でも両親は私がスクールカーストの底辺にいたことは知らないだろう。