「私たちがそれぞれパートナーを連れて行ったらすごい人数になるんじゃない？　会場は大丈夫なの？」

『結城さん側の招待客がかなり多いみたいで、こちらもそれに合わせなきゃいけないの。ほら、彼って大病院の後継者だから顔が広いのよ。リッチな方ばかりだからお付き合いが大変なの』

後半の自慢は不要だろう。高校時代から自慢ばかりのマウント女子だったから予想はしていたけれども。
でも彼女の神経逆撫で発言にはまだ続きがあった。

「紺子だけには打ち明けちゃうけど、パートナー同伴なのは他にも理由があるの。結城さんの関係者はみんなセレブ男性でしょう？　シングル参加だと玉の輿狙いで物欲しげにアプローチする子が絶対いるじゃない？　私、恥をかかされたくないし」

ツッコミどころがありすぎて白目になる。自分以外の誰かが美味しい思いをするのは癪に障るのだろう。心配しなくても合コンでも二次会でも私は海割り女だ。それを陰で笑ってきたくせに。

『紺子がどんな人を連れてくるのか、みんなそのことで持ちきりよ。ほら、紺子って背が高くてモデルさんみたいにだから、お相手もきっとすごい男性だろうって』

〝モデルさんみたい〟
この集団に限り、これを真に受けてはいけない。〝男ウケしない〟という嘲りの綺麗な言い換えだ。