試験が始まった。
試験は三日かけて行われ、順番は六年、五年、四年……の順番で行われる。
そのため、初っ端から六年で僕とソレイユだ。

円形の天井がない開放的な競技場の中央に国王軍と同じ制服に着替えた僕とソレイユが向かい合って立つ。
観客席にはたくさんの生徒達。
これだけの注目を集めるのは慣れたはずなのに変な緊張が募る。

それに、ソレイユの瞳は昨日と変わらず冷たい。

……なんでそんなに怒ってるのかわからないけど……この試合は負けたくない。

試験の勝敗はどちらかがリタイアするか完全に勝負があったと審判に判断されるか、気絶、もしくは死ぬまでやる。
残酷に聞こえるルールだが、軍に入ったら死にたくないとか言ってられないから妥当なのだろう。

「やっぱり、お前はその剣使うんだな」

審判がマイクで注意事項とか呼びかけている中、ソレイユが言った。

「当然。ソレイユだって自分の剣だし、フィフティフィフティでしょ?」

僕が鼻で笑うとソレイユはわかりやすく表情を強ばらせた。
僕のチートの剣とは違ってソレイユのは至極普通の剣。フィフティフィフティじゃないだろとでも思ったんだろう。

『ーー勝負初め!』

注意事項の説明を終えた審判がマイク越しで試合開始の合図を出し、僕らは剣を抜く。

最近は怖くてあまり使えてなかった剣。稽古の時もなるべく使わないで他の剣でやっていた。
だから、この剣を使うのは去年の実技試験ぶり。
僕がいつもの調子で構えると電気が走ったかのように脳が痺れた。それから、僕の中に何かが入り込んでくる感じがする。

これは……やばい……ソレイユが、危ない……!

と思った時には時すでに遅し。
僕の意識は暗闇の中へと引きずり込まれた。