ーー試験当日。

遅刻まであと数分なのに、僕は魔剣と睨めっこしていた。
かれこれ1時間は壁に立てかけてある剣の前に胡座をかいて座り悩んでいる。

身支度は既に終えているが、この剣を使おうか使わないかの決断が下せられない。
試験では自分の剣を使ってもいい。借りることも出来るが大抵の人は使い慣れてる自分の剣を使う。
そのため、本物の剣を使うのだから死人が出るのも珍しくはない。

どうしよう……剣を使うか使わまいか……

あんな風にソレイユに言われたんだ。
これを使って勝ったってなんの面白みもない。
だからといって使わないで勝つ自信もない。
ソレイユは才能の塊だ。それに比べて僕は普通の剣だと並の実力しかない。

……売られた喧嘩は全力で買ってやるしかない、か。なら、弱い僕よりも強い僕と戦った方がソレイユもいいよね。

僕は理由をこじつけると魔剣を握りしめて学校へと走った。