クラージュと別れ、一人歩くソレイユはどこか後ろめたく重たい足取り。
クラージュとソレイユは幼い頃から兄弟のようにずっと一緒にいた。
喧嘩もしたことはあったが、こんな大きな喧嘩はしたことが無い。
それに、『嫌い』だなんて言葉は初めて言った。

ソレイユも自分のやってる事の重大さはわかっている。
幼い頃から二人で国王軍に入る事を夢見てた。だけど、ソレイユはそんな自分達の夢を壊すようなことをした。
裏切りだと捉えられても仕方の無いことだ。

ソレイユは校舎の陰に隠れ項垂れるようにしゃがみ込んだ。

手がカタカタと小刻みに震えて冷や汗が止まらない。
いや、汗じゃない。これは、自分の涙だ。

「ごめん……クラージュ……ごめんな……泣かせて、ごめんな……」

嗚咽を零しながら何度も何度も謝るソレイユの言葉は薄暗くなった空に溶けて誰の耳にも届かない。

近くにいるからこそわかるクラージュの国王軍への憧れと自分を大切に思ってくれてることと、それから、魔剣の恐ろしさも。

クラージュは確実に魔剣にのまれていっている。今度の試験、クラージュが勝てたとしても頂点にたったのはクラージュではない他の誰かになってるかもしれない。

だから、嫌われてでもいいからソレイユはクラージュを助けたかった。